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電力自由化とは|仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説

2000年から2016年にかけて段階的に実施された「電力の小売全面自由化」により、現在では電力会社を自由に選べるようになりました。

ところが自由化により、電気との関わり方がどう変わるのかが分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、電力自由化の仕組み、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
また、当社が企業様の高圧電力の切り替え支援をおこなう際、よく聞かれる質問についてもまとめたので参考にしてください。

目次

電力自由化とは?わかりやすく解説

電力自由化の概要

電力自由化とは、大手電力会社が独占していた電力小売事業の規制を緩和し、民間企業の参入を促すために実施された法改正や制度改革のことです。

なお、電力事業は利用者に電気が届くまでに以下の3つの部門で成り立っています。

  • 発電部門:電気をつくる
  • 送配電部門:電気を運ぶ
  • 小売部門:電気を売る

現在は送配電部門を除く、発電部門と小売部門で自由化が進められています。

電力の小売自由化は2000年に開始され、2016年にかけて段階的に実施されました。

電力自由化により電力会社の社数は増加

電力自由化により、多くの民間企業が新電力に続々と参入しました。

※出典:経済産業省 資源エネルギー庁「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について」より

新電力(小売電気事業者)の登録数は2022年まで増加が続きました。しかし2020年から続く燃料費高騰により、倒産・撤退に踏み切る企業が増えた影響により一度減少し、それ以降は横ばいが続いています。

新規参入した主要プレイヤーの顔ぶれを見ると、ガス会社や石油元売企業、通信会社、商社系企業、鉄道会社、不動産・住宅関連企業、太陽光発電を扱う企業など多種多様です。以下は一例です。

  • ガス会社:東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、静岡ガスなど。
  • 石油元売企業:出光興産やENEOSなど。
  • 通信系企業:auエネルギー&ライフ、SBパワー、楽天エナジーなど。
  • 商社系企業:丸紅新電力(丸紅グループ)、サミットエナジー(住友商事系)

なお、2024年3月時点では、全体の17.3%の供給量を新電力が占めています。

電力自由化の目的とは?

電力自由化の目的は以下の3点です。

1. 電力の安定供給を確保するため

かつて大手電力会社は10の供給区域が決められており、地域を越えて電気を供給することができませんでした。

電力自由化により地域を越えて電力を融通できるようになったため、電気が足りない地域があれば柔軟に供給できる仕組みが整備されました。

2. 電力自由化の目的②電気料金を安くするため

自由化前までは国が戦前に決めた「総括原価方式」という方法で算出されていました。ところがこの方式は、利益率があらかじめ決まっているため、電力会社のコスト削減や値下げ意欲が高まりにくいというデメリットがありました。

電力自由化により競争原理を働かせて市場が活性化し、電気料金を値下げする目的もありました。

3. 電気利用者の選択肢を増やすため

様々な業種・業態の企業が新規参入することにより、料金値下げや電気供給に独自の価値を加えたサービスが生まれるなど、電力小売ビジネスの規模拡大が期待されました。

単なる電力の供給にとどまらず、各社が強みを生かした商品提供をおこなうことで需要家の選択肢が広がりました。

電力自由化により電力供給の仕組みはどう変わったのか?

ここからは電力自由化によって、電力供給の仕組みがどう変化したのかについて解説していきます。

小売部門の電力自由化の歴史

電力の小売自由化は2000年に開始されました。そして以下に記載のように2016年にかけて段階的に実施されました。

小売部門の自由化の歴史

  • 2000年3月:特別高圧(契約電力2,000kW以上)が自由化
  • 2004年4月:高圧大口(契約電力500kW〜2,000kW)が自由化
  • 2005年4月:高圧小口(契約電力が50kW〜500kW)が自由化
  • 2016年4月:低圧(契約電力が50kW未満)が自由化

2016年に低圧電力が自由化の対象となったことで電力小売は全面自由化になりました。

発電・送配電部門の電力自由化

電力自由化は小売部門だけでなく発電部門・送配電部門でもおこなわれました。

<発電部門>

1995年の電気事業法改正により、大手電力会社以外の発電事業者も自由に参入できるようになりました。

<送配電部門>

送配電部門は発電や小売のような自由化ではなく、2020年に「発送電分離」が行われました。発送電分離とは、大手電力会社が送配電部門を別会社化することです。

電気を使うには送電線が不可欠ですが、大手電力会社が送配電部門を抱えていれば、電力自由化により新規参入した発電事業者や新電力からすれば公平性に欠けます。

そこで電力システム改革を通じて、送電線を公共財として使えるインフラとするため、発送電分離がおこなわれました。

電力自由化による需要家のメリット

①電気料金を安くできる可能性がある

自由化に移行する前は、大手電力会社が決めた高圧電力プランを契約するしかなく、企業に選択の余地はありませんでした。

新電力の新規参入によって電気料金の価格競争が起き、電気代の値下げが行われたり、多種多様なプランが登場するなどしています。

例えば、大手電力会社の一般的な電気料金プランは単価が24時間固定される一方で、市場連動型プランは市場価格に応じて電気代の単価が変動するため、単価を大幅に下げることが可能です。

こちらについては後述します。

②自社の電力ニーズに合ったプランが選べる

電気料金の値下げ競争以外にも、新電力各社では多種多様なメニューを提供しています。

例えば料金面では、燃料価格や市場価格の値上がりの影響を受けない「完全固定プラン」や、市場連動型プランと完全固定プランを組み合わせた「ハイブリッド型プラン」など、安さ以外の電力ニーズを捉えたプランも登場しています。

料金だけではありません。CO2をはじめとした温室効果ガスが排出されない再生可能エネルギー100%の電気を提供するプランもあります。

③複数エリアの契約を一本化できる

自由化になる前は、全国各地にオフィスや工場・店舗がある法人企業はそれぞれの地域の大手電力会社と契約を結ぶ必要がありました。

新電力会社によっては、切り替えることで電気代の支払先や請求書管理をまとめることができるため、事務面の負担軽減につながります。

電力自由化による需要家のデメリット

①電気代が高くなる可能性がある

新電力のデメリットの1つ目が、電気代が高くなるリスクがある点です。
新電力に切り替えることにより確実に電気代が安くなる、とは断言できません。

特に、2020年以降は燃料価格が高騰した影響により、電気代が高くなっています。中には燃料費の上昇分を転嫁するために、電気代の料金単価を1.5倍以上に値上げする新電力もあります。

一方で、新電力の中には電気代の高騰による値上げリスクを軽減できる電力プランもあります。そういった安心できる電力プランの特徴については後述します。

②プランによっては解約違約金が発生する

新電力の一部では解約時の違約金が発生するプランもあるため、注意しなくてはなりません。

新電力会社のなかには契約期間を設けており、その期間内に解約すると電気代の1~3ヶ月分の中途解約違約金を請求される場合があります。

電力会社の切り替えを柔軟にしたい企業は、電気の供給を受ける前に契約書で違約金の有無を確認しましょう。

③新電力会社の倒産や撤退の可能性がある

新電力が経営難に陥り、倒産や事業撤退、新規受付停止を突然行うリスクもあります。

帝国データバンクの調査によると、2024年3月時点で倒産・事業撤退した新電力会社は累計で119社となり、2021年4月に登録のあった706社の内、16.9%を占めました。

なお、倒産・撤退は2021~2022年に集中したのですが、その原因の多くは電力プランの設計に問題を抱えていたためです。

現在では見直しがおこなわれ、事業リスクを軽減できる電力プランが出ているため、その詳細については後ほど詳しく解説します。

電力自由化に関するよくある質問

ここからは、新電力についてよくある質問と回答を紹介していきます。

新電力にすると電気の質が悪くなる?停電の回数が増える?

電気はどれも同じものなので、新電力に切り替えても質が変わることはありません。

また電気の供給が不安定になったり停電が起きたりすることもないです。停電のリスクは大手電力会社と同じです。

停電になったときはどこに連絡するの?

停電になったときは大手電力会社との契約時と同様に、下記の供給地域別の一般送配電事業者に連絡します。

  • 北海道:北海道電力ネットワーク株式会社
  • 東北:東北電力ネットワーク株式会社
  • 東京:東京電力パワーグリッド株式会社
  • 中部:中部電力パワーグリッド株式会社
  • 北陸:北陸電力株式会社
  • 関西:関西電力送配電株式会社
  • 中国:中国電力ネットワーク株式会社
  • 四国:四国電力送配電株式会社
  • 九州:九州電力送配電株式会社

契約先が新電力会社であれ、電気は供給地域の一般送配電事業者(地域の電力会社)の送配電設備をそのまま使用して企業に届きます。

送配電は「電気事業法」により供給安定性が確保されているため、電気の質は従来とまったく変わりません。

新電力が倒産・撤退したら電気は止まる?

万一、契約先の電力会社が経営破綻する場合でも、電力会社から事前に通知が届くため、電気が突然止まることはありません。

また、セーフティーネットとして供給エリアの一般送配電事業者から直ちに供給が開始される「最終保証供給」の制度により、企業への電力供給が滞ることはありません。

【必読】新電力の倒産・事業撤退が相次いだ理由

先述したとおり、長引く燃料価格高騰の影響により、2024年3月時点で倒産・撤退した電力会社は全体の約2割にものぼりました。

なぜ燃料費が上がることで新電力の倒産や事業撤退が相次いだのでしょうか。その理由は料金プランの設定に大きな問題点があったからです。

仕入れ価格に基づいた料金プランの設定がされていなかった

通常、商取引では仕入れ価格(原価)に基づいて販売価格を決めるのが一般的です。原価を把握して適切にコントロールすることにより、企業の収益の確保や経営の健全性につながるためです。

しかし、新電力の大半が当時提供していた料金プランは、仕入れ価格をもとに設定されていませんでした。詳細を見ていきましょう。

大手電力会社や新電力が提供する「一般的な料金プラン」は以下の式で成り立っています。

電気料金=基本料金+電力量料金単価(+燃料費調整額)+再生可能エネルギー発電促進賦課金

この料金プランは、毎月定額の「基本料金」と、電気の使用量に応じて決まる「電力量料金単価・燃料費調整額・再エネ賦課金」の組み合わせで月々の電気代が決まります。

燃料費調整額とは、火力燃料(石炭・天然ガス・原油)の価格変動分を電気代に反映するためのものです。

ここで問題なのが、この料金プランには新電力の電気の仕入れ先である「市場価格(仕入れ値)」の変動分を反映させる設定がされていなかった点です。

燃料価格と市場価格の違い

発電設備を保有していない新電力会社は、JEPX(日本卸電力取引所)の市場価格から電気を調達して需要家に供給しています。

大手電力会社の電源の約7割は火力燃料のため、調達先は異なります。

市場価格は30分ごとに単価が変動しますが、このプランは市場価格が変動しても料金に反映する設定がされていないため、大幅に値上がりした場合、新電力は赤字になってしまうのです。

これまでは市場価格が高値をつける時間帯が少なく、安定的に推移していたため、このやり方でも利益が出せていました。

しかし、燃料費が2022年に過去最高値を記録し、市場価格も高値をつける時間帯が増えた結果、多くの新電力が「電気を売れば売るほど赤字」の逆ザヤとなりました。

それにより、倒産・事業撤退や大幅値上げに踏み切る新電力が増えたのです。当時は需要家である企業にも大きな影響を与えました。

倒産リスクがほぼゼロの市場連動型プランが主流に

その後、新電力では料金プランの設計を見直し、「市場連動型プラン」の提供が広がりました。市場連動型プランの算定式は以下です。

電気料金=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金

市場連動型プランは、JEPXの市場価格に電力会社の管理費を上乗せしたものが電力量料金になる仕組みです。下図のとおり、仕入れ価格に基づいて料金プランが設計されています。

市場連動型プランを一般的なプランと比較した場合のメリットは下記の3点です。

1.料金内訳が明瞭なので透明性が高い

一般的な料金プランは料金内訳が不透明な上、突然の値上げになることも少なくありません。市場連動型プランの料金体系は市場価格と管理費が明確に分かれているため、不透明な値上げリスクが低いです。

2.倒産・事業撤退リスクが低い

一般的な料金プランとは異なり、市場連動型プランは料金設定が仕入れ値に基づいてるため、燃料費高騰の影響を受けることはありません。

3.市場価格が下がれば料金単価が安くなる

一般的なプランは料金単価が24時間固定される一方で、市場連動型プランは市場価格に応じて電気代の単価が変動するため、単価を大幅に下げられる可能性があります。

もちろん、市場価格が高値をつけ、市場連動型プランの単価が一般的な料金プランよりも高くなるリスクもあります。

しかし燃料費が高騰していても、太陽光発電の導入量が増える昼間の市場価格は最安値の0.01円/kWhをつけることもあり、電気代を安くできる可能性があります。

ちなみに0.01円/kWhの最安値をつける時間帯は年々増加しています。

特に、日照条件が良い九州エリアでは、市場価格が0.01円/kWhの時間が2023年は年1174時間となり、年間の総時間数(8,760時間)の約13%に達しています。

市場連動型プランは、午前~昼間の電気代が安くなる傾向にあるため、日中に電気をたくさん使用するオフィスや工場であれば、電気代が下がる可能性が高いといえます。

以下は、燃料調整費型プランと市場連動型プランの価格イメージ図は以下のとおりです。

「電気代を安くしたい」「電力会社との契約で悩みたくない」という企業は、市場連動型プランを検討してみてはいかがでしょうか。

一度、見積もりをとって比較することをおすすめします。

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北海道から九州まで、工場やオフィスビル・倉庫・医療施設・ホテル・店舗など様々な業種の企業様の電気代を削減してきました。

電力アドバイザーズのサービスの特長は以下の3点です。

  • 提携先の電力会社に一括で見積もりを取得
  • 電力のプロが電力会社と単価交渉~契約手続きまで全面サポート
  • 全てのサービスを完全無料でご提供

それぞれの内容を説明します。

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2024年時点で電力会社は700社以上存在します。
当社は以下3つの基準により厳選した30社から最適な電力プランを紹介することが可能です。

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電力会社には倒産リスクがあるため、料金プランの良し悪しだけで選ぶのは危険です。
社会インフラである電気の供給元を選ぶにあたり、母体企業の信頼性や財務力の面で安心感のある会社をご紹介します。

2. 電力のプロが電力会社と単価交渉~契約手続きまで全面サポート

より良い条件の見積もりを引き出すためには、専門的な知見が必要です。

料金プランについて熟知した当社コンサルタントが電力会社と単価交渉をおこない、有利な条件での契約を徹底サポートします。

◎各社見積書の条件を一覧表にまとめます

電力会社のプランは年々複雑化しています。

その上、見積書はフォーマットや前提条件が各社で異なるため、どの料金プランが最適かを見極めるのも困難です。

実際、複数社から取り寄せた見積書に記載されている「削減見込額」の大きさだけで電力会社を選び、失敗している法人様も少なくありません。前提を同じ条件に整えないと、比較が不十分だからです。

当社に依頼いただくと、電力に詳しくない方でも簡単に比較検討できる、各社料金プランの条件を整理した「条件比較一覧表」を作成してお渡しします。

そのうえで各プランの特徴を丁寧に説明し、不安や懸念点を解消します。

ちなみに、当社に一括見積もりを依頼されたとしても、切替のお約束はありませんのでご安心ください。
「電力会社の見積もりを見てみたい」「今後の参考にしたい」というお話でもしっかりサポートしますので、お気軽にご活用ください。

◎一括見積もりを依頼するメリット

自社対応される場合と当社に依頼いただく際の比較表を以下に記載しました。

各電力会社と直接やり取りするのは非常に大変です。

担当者の方が本業に集中できるよう、電力会社との面倒なやり取り、見積書の収集や契約条件の整理、料金プランに関する知識説明まで全てのフローで全面サポートします。

なお、当社を飛び越えて電力会社から直接連絡が入ることはありませんのでご安心ください。

3. 全てのサービスを完全無料で提供しています

当社は電力会社の選定~契約手続き完了までの全てのサービスを無料で提供しています。1円もかかりません。

もちろん、アフターフォローも万全です。

◎有益情報を適宜お届け

電力市場を取り巻く環境は日々変化しています。
そのため、電力プランも適宜見直す必要があります。

電力アドバイザーズは電力会社の見直しに限らず、市場の変化が起きた時に有益情報を提供し、企業の電力パートナーとして継続的に伴走しています。

一括見積もりを依頼するために必要なものは?

一括見積もりを依頼するために必要な資料は以下の2点です。

  • 12ヵ月分の電気料金の明細書
  • 30分値データ

◎電気料金の明細書について

電気料金の明細書については、原則として直近12ヵ月分のものをご準備ください。

明細が手元になく、すぐに用意できない場合は準備可能な分で試算するため、お気軽にお問い合わせください。

◎30分値データについて

30分値データとは、30分単位の電気使用量を確認できる資料です。
精緻に試算することができるため、ご準備いただくことをおすすめします。

30分値データは電力会社によってマイページからダウンロードできたり、電話で直接問い合わせをする必要がありますが、取得方法が分からない場合はまずは当社にご相談ください。

もちろん、30分値データがなくても一括見積もりは可能です。

お気軽にお問い合わせください

電気料金見直しのご相談は「電力アドバイザーズのお問い合わせページ」または下記バナーからすぐに完了できます。
見積もり依頼を希望される方はぜひお申し込みを。

電気代見直しに関するご相談や不明点などにも対応可能なのでお気軽にご連絡ください。
お待ちしております。

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