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電気料金の力率割引をわかりやすく解説|計算式や改善方法もご紹介

「電気代が高くて、下げる方法を探している…」
「力率を改善すると電気の基本料金が下がるの?」
「力率を改善するとなぜ割引されるの?」

電気代のコスト削減について、このような悩みを抱えていませんか?

電気代の高騰により、電気料金の見直しを検討する企業様は非常に増えています。
ところが、電気代を構成する要素や算定式は複雑なため、何から手を打てばよいか、迷う方は少なくありません。

この記事では、電気料金の「力率(読み方:りきりつ)」の仕組みや計算式、改善策をわかりやすく解説しています。

理解が曖昧なまま、手順を踏まえずに対策を講じた結果、期待していた効果を得られなかったということのないよう熟読し、高圧電力を利用する貴社のコスト削減の対策にお役立てください。

まずは電気料金と力率の関係を理解しよう

「力率」について解説する前に、まずは力率が電気料金のどの要素に構成されるのかをお伝えします。

大手電力会社の電気料金の構成を以下に記載します。
(注)大手電力会社とは、北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の旧一般電気事業者10社のことです

【高圧電力の電気料金の構成】
電気料金=基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再生可能エネルギー賦課金

上記のうち、力率は基本料金を算出する際の計算式に含まれています。

基本料金の計算式は以下です。

【高圧電力の基本料金の計算式】
基本料金=基本料金単価×契約電力×力率

なお、力率は使用状況により、割引を受けることもできますが、割増しして請求される可能性もあります。※詳細は後述します

計算式からも分かるとおり、力率を改善することによって力率割引が適用され、基本料金を下げることができるのです。

ただし、「力率」がすでに「100%」の場合、力率改善によるこれ以上の割引を受けることはできません。
電気料金の明細の力率が100%未満の契約のみ、力率の改善が可能です。

次の章では力率の基本情報について解説します。

関連記事:高圧電力の基本料金仕組みと計算方法|削減方法
関連記事:契約電力の決め方|高圧(500kW未満・以上)の基本料金を下げる方法まとめ
関連記事:燃料費調整額とは|計算方法と今後の見通しをわかりやすく解説
関連記事:再エネ賦課金とは?仕組みや安くする方法をわかりやすく解説

力率とは

力率とは、発電所から送られた電力のうち、有効に使われた電力の比率のことをいいます。
「有効に使われない電力もあるの?」と思う方もいるかもしれませんが、使われずに無駄になる電気もあります。

なお、発電所から送られてくる電力(皮相電力)のうち、実際に使われる電力を「有効電力」、使われなかった電力のことを「無効電力」といいます。

以下の表にまとめたのでご覧ください。

実際に使われる電力(A) 有効電力
使われなかった電力(B) 無効電力
発電所から送られてくる全ての電力(A+B) 皮相電力

力率は、メーターで測定した、8時~22時の昼間時間帯における有効電力量と無効電力量に基づいて各月ごとに決定されます。

この有効電力が、送られてきたすべての電力(皮相電力)のうち、何%にあたるかを示したものが力率です。
計算式は以下となります。

力率 = 有効電力(W) / 皮相電力(VA)

※皮相電力:有効電力+無効電力
※有効電力:機器(負荷側)にて実際に消費される電力
※無効電力:機器(負荷側)にて消費されない電力

力率と効率の違い

力率と効率の違いについて質問を受けることがあるため、簡単ではありますが、言葉の意味について補足説明します。

力率 電源から供給された電力のうち、有効に使われた電力の割合
効率 電気を使う機器内で、電力を無駄なく使用することができたかの割合

力率が高くとも、機器の電力を無駄に使用してしまい、損失を出してしまうと、「効率が悪い」という表現を使います。

力率割引・力率割増しとは

つづいては、力率の基準や、力率改善によるコスト削減効果についてご説明します。

まず、力率の基準となる割合は85%です。
この力率「85%」を基準に、力率の割合(%)によって、基本料金に割引・割増し率が適用されます。

高圧・特別高圧の場合は以下のとおりです。

力率 基本料金の割引・割増率
85%を上回る1%につき 1%割引
85%を下回る1%につき 1%割増

では、力率を改善することによって、どの程度、基本料金の見直しに繋がるのでしょうか。
次節をご覧ください。

力率改善によるコスト削減効果

力率改善によって、電気料金の基本料金をどのくらい削減できるのか、具体的な金額を見ていきましょう。
あらためてになりますが、基本料金の計算式は以下です。

【高圧電力の基本料金の計算式】
基本料金=基本料金単価×契約電力×力率

では早速、見ていきましょう。

東京電力で業務用電力(契約電力500kW未満)の場合

東京電力エナジーパートナーの業務用電力の基本料金は「1,890円00銭」です。
仮に、契約電力が300kW、力率が85%の場合、基本料金は567,000円/月となります。
計算式は以下となります。

基本料金:567,000円=基本料金単価:1,890円00銭×契約電力:300×力率:1

この計算式に含まれる「力率」が80%~100%にかわると、月の基本料金がどのくらい変わるかを見ていきましょう。

力率 基本料金×割引・割増係数 基本料金/月 削減・増加額
100% 567,000円×0.85(15%割引) 481,950円 ▲85,050円
95% 567,000円×0.90(10%割引) 510,300円 ▲56,700円
90% 567,000円×0.95(5%割引) 538,650円 ▲28,350円
基準:85% 567,000円×1 567,000円
80% 567,000円×1.05(5%割増) 595,350円 28,350円

力率が85%から95%に改善した場合、10%の割引が適用され、月の電気代は56,700円の削減、年間で680,400円もの電気代が節約できます。

反対に、現在の力率が80%であれば、基準である力率85%と比べて、基本料金が5%の割増し請求されていることになります。

その場合、月に28,350円、年間で340,200円もの余計な料金負担が発生しているため、早急に力率改善を実施することをおすすめします。

現在の力率に改善の余地がある場合、どのような打ち手があるのでしょうか、次章をご覧ください。

力率改善には進相コンデンサの設置が有効

力率を改善する方法として有効なのは「進相コンデンサ」の設置です。

一般的に、力率が悪いときの原因として挙げられるのは、「遅れ無効電力」が発生しているためです。
遅れ無効電力とは、変圧の過程において”電圧に対して電流の変化が遅れる”ことをいい、力率を悪化させます。

進相コンデンサは、電圧に対する電流の変化を進めて「進みの無効電力」を発生させることにより、無効電力を相殺して力率を改善する方法となります。

例えば、力率が80%(0.8)の電動機を使っている場合、表記が「100kW」であっても、実際は「100÷0.8」の計算式により、「125kVA」が発電所から送られてくる電力(皮相電力)となります。

つまり、100kWの消費電力に対して、125kVAの皮相電力をまかなえる供給設備を用意しなければなりません。
進相コンデンサを設置することによって「25kVA」の無効電力を0に近づけることが可能となります。

設置箇所や方法については、電気主任技術者に相談してみるとよいでしょう。

電気料金(基本料金)を見直して削減する方法

最もおすすめなのは、新電力への切り替えにより基本料金単価を下げる方法です。
力率を改善するのは機器の導入が必要ですが、新電力への切り替えは無料でおこなえます。

2016年に電力の小売全面自由化により、700社以上の電力会社から料金プランを選択できるようになりました。

例えば、東京電力の業務用電力の基本料金単価(2024年4月1日以降契約分)は「1,890円00銭」ですが、電力会社の中には「653円87銭(2024年時点)」で提供している契約メニューもあります。

仮に契約電力が200kW、力率100%の場合、東京電力は321,300円/月に対して、新電力のプランだと111,157円/月となり、毎月210,143円を削減することが可能です。

また、電力会社を切り替えると、基本料金のみならず電力量料金の削減が見込めるメニューもあります。

力率改善や契約電力を下げる方法はコストをかける必要がありますが、電力会社の切替は費用がかかりません。

まずはお金をかけずに見直せるところから着手してみてはいかがでしょうか。

市場連動型プランなら電力量料金も下げられる可能性あり

ここまで高圧電力の基本料金を下げる方法について説明しました。電気代の値上がりリスクを避けたい法人が知っておきたいのが「市場連動型プラン」です。

市場連動型プランとは、30分ごとに電力量料金の単価が変動するプランです。

市場連動型プランでは「JEPX」という電力の卸市場から仕入れた電気を供給します。JEPXの価格は「市場価格」といい、需要と供給に応じて30分ごとに価格が変動する仕組みとなっています。

市場連動型プランの料金の内訳は以下です。

電気料金=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金

市場連動型プランは、JEPXの市場価格に電力会社の管理費を上乗せしたものが電力量料金になります。下図のとおり、仕入れ価格に基づいて料金プランが設計されています。

市場連動型プランを、大手電力会社の一般的な料金プランと比較した場合のメリットは下記の3点です。

1.料金内訳が明瞭なので透明性が高い

燃料調整費型プランは料金内訳が不透明な上、突然の値上げになることも少なくありません。

市場連動型プランの料金体系は市場価格と管理費が明確に分かれているため、不透明な値上げリスクが低いです。

2.倒産・事業撤退リスクが低い

燃料調整費型プランとは異なり、市場連動型プランは料金設定が仕入れ値に基づくため、燃料費高騰の影響を受けることはありません。

3.市場価格が下がれば料金単価が安くなる

燃料調整費型プランは料金単価が24時間固定される一方で、市場連動型プランは市場価格に応じて電気代の単価が変動するため、単価を大幅に下げられる可能性があります。

もちろん、市場価格が高値をつけ、市場連動型プランの単価が燃料調整費型プランよりも高くなるリスクもあります。

しかし燃料費が高騰していても、太陽光発電の導入量が増える昼間の市場価格は最安値の0.01円/kWhをつけることもあり、電気代を安くできる可能性があります。

ちなみに0.01円/kWhの最安値をつける時間帯は年々増加しています。

特に、日照条件が良い九州エリアでは、市場価格が0.01円/kWhの時間が2023年は年1174時間となり、年間の総時間数(8,760時間)の約13%に達しています。

JEPXの市場価格は、天候が悪い日や夜間などの太陽光発電ができない時間帯や、夏冬の電力需要が増える時期は高くなる場合があります。
そのため、市場価格が高騰すれば、市場連動型プランが燃料調整型プランよりも高くなるリスクは当然考えられます。

しかし、0.01円/kWhとなる時間帯が増えているため、特に昼間の稼働が多いオフィス・工場では電気代を下げられる可能性が高いといえます。以下は市場価格が0.01円/kWhを記録した際の、市場連動型プランと燃料調整型プランそれぞれの平均価格のイメージ図です。

市場連動型プランは、市場価格に電力会社の経費が上乗せされるケースが多いため、電力会社が固定単価の引き上げを発表したり、突然倒産・撤退したりするリスクはほとんどありません。

「電気代を安くしたい」「電力会社との契約で悩みたくない」法人は、市場連動型プランを検討するのも1つの手です。一度、見積もりをとって比較することをおすすめします。

電力アドバイザーズは最適な電力会社を見つけるお手伝いをしています

電力アドバイザーズは、電力会社との契約を見直して電気代削減を支援する、エネルギーコンサルティングをおこなっています。

2024年度に電力アドバイザーズが手がけた切替件数は約900件(2024年4~9月)。
これまでに9割以上の法人企業が電気代削減に成功しています。
電気代削減率は平均16.1%で、最大で25%下がった実績があります。

北海道から九州まで、工場やオフィスビル・倉庫・医療施設・ホテル・店舗など様々な業種の企業様の電気代を削減してきました。

電力アドバイザーズのサービスの特長は以下の3点です。

  • 提携先の電力会社に一括で見積もりを取得
  • 電力のプロが電力会社と単価交渉~契約手続きまで全面サポート
  • 全てのサービスを完全無料でご提供

それぞれの内容を説明します。

1. 提携電力会社に一括で見積もりを取得

2024年時点で電力会社は700社以上存在します。
当社は以下3つの基準により厳選した30社から最適な電力プランを紹介することが可能です。

  • 新電力を運営する母体企業の信頼性
  • 国内電力供給シェアが上位1割
  • 競争力のある料金プランを提供できる電力会社

電力会社には倒産リスクがあるため、料金プランの良し悪しだけで選ぶのは危険です。
社会インフラである電気の供給元を選ぶにあたり、母体企業の信頼性や財務力の面で安心感のある会社をご紹介します。

2. 電力のプロが電力会社と単価交渉~契約手続きまで全面サポート

より良い条件の見積もりを引き出すためには、専門的な知見が必要です。

料金プランについて熟知した当社コンサルタントが電力会社と単価交渉をおこない、有利な条件での契約を徹底サポートします。

◎各社見積書の条件を一覧表にまとめます

電力会社のプランは年々複雑化しています。

その上、見積書はフォーマットや前提条件が各社で異なるため、どの料金プランが最適かを見極めるのも困難です。

実際、複数社から取り寄せた見積書に記載されている「削減見込額」の大きさだけで電力会社を選び、失敗している法人様も少なくありません。前提を同じ条件に整えないと、比較が不十分だからです。

当社に依頼いただくと、電力に詳しくない方でも簡単に比較検討できる、各社料金プランの条件を整理した「条件比較一覧表」を作成してお渡しします。

そのうえで各プランの特徴を丁寧に説明し、不安や懸念点を解消します。

ちなみに、当社に一括見積もりを依頼されたとしても、切替のお約束はありませんのでご安心ください。
「電力会社の見積もりを見てみたい」「今後の参考にしたい」というお話でもしっかりサポートしますので、お気軽にご活用ください。

◎一括見積もりを依頼するメリット

自社対応される場合と当社に依頼いただく際の比較表を以下に記載しました。

各電力会社と直接やり取りするのは非常に大変です。

担当者の方が本業に集中できるよう、電力会社との面倒なやり取り、見積書の収集や契約条件の整理、料金プランに関する知識説明まで全てのフローで全面サポートします。

なお、当社を飛び越えて電力会社から直接連絡が入ることはありませんのでご安心ください。

3. 全てのサービスを完全無料で提供しています

当社は電力会社の選定~契約手続き完了までの全てのサービスを無料で提供しています。1円もかかりません。

もちろん、アフターフォローも万全です。

◎有益情報を適宜お届け

電力市場を取り巻く環境は日々変化しています。
そのため、電力プランも適宜見直す必要があります。

電力アドバイザーズは電力会社の見直しに限らず、市場の変化が起きた時に有益情報を提供し、企業の電力パートナーとして継続的に伴走しています。

一括見積もりを依頼するために必要なものは?

一括見積もりを依頼するために必要な資料は以下の2点です。

  • 12ヵ月分の電気料金の明細書
  • 30分値データ

◎電気料金の明細書について

電気料金の明細書については、原則として直近12ヵ月分のものをご準備ください。

明細が手元になく、すぐに用意できない場合は準備可能な分で試算するため、お気軽にお問い合わせください。

◎30分値データについて

30分値データとは、30分単位の電気使用量を確認できる資料です。
精緻に試算することができるため、ご準備いただくことをおすすめします。

30分値データは電力会社によってマイページからダウンロードできたり、電話で直接問い合わせをする必要がありますが、取得方法が分からない場合はまずは当社にご相談ください。

もちろん、30分値データがなくても一括見積もりは可能です。

お気軽にお問い合わせください

電気料金見直しのご相談は「電力アドバイザーズのお問い合わせページ」または下記バナーからすぐに完了できます。
見積もり依頼を希望される方はぜひお申し込みを。

電気代見直しに関するご相談や不明点などにも対応可能なのでお気軽にご連絡ください。
お待ちしております。

その課題、電力アドバイザーズで
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