再エネ賦課金とは?仕組みや安くする方法をわかりやすく解説
「電気料金明細にある再エネ賦課金とは何?」
「負担を抑える方法はある?」
「今後上がっていくの?」
などと悩んでいませんか。
電気料金の明細を見ると「再エネ賦課金」の項目があります。
基本料金や従量料金を支払う理由は分かるけど、再エネ賦課金は何のために払っているのか、またいくら支払うのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、再エネ賦課金の概要をわかりやすく解説し、再エネ賦課金の単価や、今後の推移、また再エネ賦課金を安くする方法があるのかについて詳しく解説します。
再エネ賦課金とは
再エネ賦課金(読み方:さいえねふかきん)とは、正式名称を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」といいます。
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーによって生み出された電力を、発電所が買取する際にかかる費用をまかなうために設けられた「割り当て負担金」のことをいいます。
再エネ賦課金は原則として、電気を利用するすべての個人・法人から、通常の電気料金に上乗せして集金されるものになります。
ちなみに、再生可能エネルギーとは、資源が枯渇しない、どこにでも存在する、CO2を増加させない、といった特徴がある、以下に示した自然界に常に存在するエネルギーのことをいいます。
◎再生可能エネルギーの代表的な種類
- 太陽光発電
- 水力発電
- 風力発電
- バイオマス発電
- 地熱発電
再生可能エネルギーは、環境にやさしいエネルギーとして注目されており、地球温暖化防止や化石燃料の代替エネルギーとして期待されています。
そのため日本では、再生可能エネルギーの普及促進を目的として、太陽光発電などで発電した電力を電力会社が買い取る「FIT制度(固定価格買取制度、読み方:フィット)」が2012年7月から運用を開始しました。
※「FIT制度」とは、再生可能エネルギーからつくられた電気を、電力会社が「一定価格」で「一定期間」買い取ることを国が約束する制度です。
(出典:資源エネルギー庁『固定価格買取制度とは』)
しかしながら、現在の電気料金や税金でまかなえない部分が大きいことから、電気を利用するすべての個人・法人に対して、再エネ賦課金を電気料金に載せて徴収しているのです。
関連記事:高圧電力の基本料金仕組みと計算方法|削減方法
関連記事:燃料費調整額とは|計算方法と今後の見通しをわかりやすく解説
再エネ賦課金ができた背景
再エネ賦課金の概要について簡単に説明しました。
ではなぜ、再エネ賦課金が開始されたのでしょうか、その背景をお伝えします。
それは、日本は2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しているからです。
カーボンニュートラルとは、CO2(二酸化炭素)をはじめとした温室効果ガスを「吸収・除去」して排出量を実質ゼロにする取り組みのことをいいます。
現在、カーボンニュートラルの取り組みは、先進国を中心として世界中で実施されています。目標達成の年度(2050年~2070年)は国ごとで異なりますが、日本を含む主要国が2050年の目標達成を目指している状況です。
こういった背景から、日本は「FIT制度」を開始し、再エネ由来の電気の買取に力を入れているのです。
豆知識
再エネの導入が進むのは、カーボンニュートラルの実現だけが目的ではありません。 現在の日本の発電は、火力発電と原子力に依存しています。 特に、火力発電は全体の7割近くを占め、そこで使用する化石燃料のうち9割を輸入に頼っています。 出典:資源エネルギー庁(2023―日本が抱えているエネルギー問題) 現状の問題を打破するために注目されたのが、CO2排出量を削減し、自然の力で大量の電力を生み出せる太陽光発電といった「再生可能エネルギー」です。 |
再エネ賦課金の単価や支払い方法
つづいては、再エネ賦課金の支払方法を説明します。
まずは単価の推移を見ていきましょう。
再エネ賦課金の過去の単価の推移
再エネ賦課金は、経済産業省の経済産業大臣によって毎年単価が見直されています。
自然エネルギー財団が公開している「再エネ賦課金の推移」は下表のとおりです。
対象期間 | 単価 |
2012年8月~2013年3月 | 0.22円/kWh |
2013年4月~2014年4月 | 0.35円/kWh |
2014年5月~2015年4月 | 0.75円/kWh |
2015年5月~2016年4月 | 1.58円/kWh |
2016年5月~2017年4月 | 2.25円/kWh |
2017年5月~2018年4月 | 2.64円/kWh |
2018年5月~2019年4月 | 2.90円/kWh |
2019年5月~2020年4月 | 2.95円/kWh |
2020年5月~2021年4月 | 2.98円/kWh |
2021年5月~2022年4月 | 3.36円/kWh |
2022年5月~2023年4月 | 3.45円/kWh |
2023年5月~2024年4月 | 1.40円/kWh |
2024年5月~2025年4月 | 3.49円/kWh |
参照:自然エネルギー財団(再エネ賦課金の推移)
2024年度の単価は3.49円/kWhです。この単価に電気使用量をかけたものが再エネ賦課金の料金になります。
例えば、月に300kWh使用したとなると「3.49 × 300 = 1,047円」が再エネ賦課金の負担額となります。
なぜ2023年度の再エネ賦課金は安かったのか
再エネ賦課金の単価は2022年度は3.45円/kWhでしたが、2023年度は1.40円/kWhに下がり、2012年にFIT制度がはじまって以来、初の下落となりました。
なぜ2023年度の再エネ賦課金は安かったのでしょうか。
その理由は「2022年度に燃料費が過去最高値を記録したから」です。
具体的に解説するために、まずは再エネ賦課金の計算方法を説明します。
◎再エネ賦課金の計算方法
再エネ賦課金単価=(買取費用-回避可能費用+広域運用推進機構事務費)÷販売電力量
上記計算式のうち、買取費用とは「電力会社がFIT制度により買い取りした再エネ電力の費用」のことをいいます。
また、回避可能費用とは「電力会社がFIT制度による再エネ電力の買い取りにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることができる費用」のことです。なお、内訳は公表されていませんが、JEPX(日本卸電力取引所)で買い取られた金額とほぼ同じになっています。
そして販売電力量とは、「該当年度内に販売が予想される電力量」のことです。
上記計算式をわかりやすく説明すると、「再エネ電力の買い取り費用(買取費用)」から「再エネ電力の売上(回避可能費用)」を差し引いて、「販売した電力量」で割ることにより、その年度の再エネ賦課金の単価が決まるのです。
2023年度の単価が安かった理由は、「2022年度に燃料費が過去最高値を記録したから」とお伝えしましたが、前年である2022年度の数値と比較してみると一目瞭然です。
年度 | 買取費用等 | 回避可能費用等 | 販売電力量 |
2022年度 | 4兆2,033億円 | 1兆4,609億円 | 7,943億kWh |
2023年度 | 4兆7,477億円(→) | 3兆6,353億円(↑) | 7,946億kWh(→) |
しかし、2023年にはJEPXの市場価格が落ち着いたことから、売上(回避可能費用)が減少し、2024年度の再エネ賦課金は値上げとなっています。
関連記事:JEPXとは?仕組みと今後の見通しをわかりやすく解説
関連記事:電力自由化とは|仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説
再エネ賦課金は今後いつまで続くのか
再エネ賦課金をいつまで支払う必要があるのでしょうか。
2024年時点でいうと、再エネ賦課金は少なくとも2044年までは続く見込みです。
その理由は、FIT制度(固定価格買取制度)が2024年度にも追加で実施され、今後最低でも2044年までの20年間は続く予定だからです。
一方で、再エネ賦課金の単価のピークは2031年頃になる可能性があります。
その理由は、2032年はFIT制度20年目であり、買取単価の高い案件から順次、固定価格での買取が終了していくためです。それに合わせて、再エネ賦課金の単価が緩やかに下がる可能性も考えられるでしょう。
再エネ賦課金を安くする方法・企業の対策4選
企業が実施できる、電気料金の追加負担となる再エネ賦課金を安くする方法を4つご紹介します。
1. 賦課金減免制度を活用する
以下記載の認定基準を満たし、経済産業大臣の認定を受けた事業者は、再エネ賦課金の支払い減免を受けることができます。
参考:資源エネルギー庁「賦課金減免制度について」 |
なお、エネルギー消費原単位の平均値は毎年更新されており、下図のように、資源エネルギー庁が出す「エネルギー白書」に掲載されている。
(出典:資源エネルギー庁「令和5年度 エネルギーに関する年次報告」)
再エネ賦課金の減免率は、基準の有無や事業種別によって2〜8割に変化します。
どの企業でも導入可能な制度ではありませんが、上記条件に当てはまり、再エネ賦課金を安くしたい・減らしたい企業は確認してみてはいかがでしょうか。
2. 太陽光発電PPAモデルを導入する
PPAモデルとは「Power Purchase Agreement」の略で、電力販売契約といいます。
PPA事業者が、事業者の敷地や屋根といったスペースに太陽光発電設備を設置し、そこで発電した電気を事業者が買い取って使用する仕組みのことです。
なお、PPAモデルには、事業者の敷地内に太陽光発電設備を設置する「オンサイトPPA」と、敷地外に設置して送配電線で電気を送る「オフサイトPPA」の2種類があります。
そのうち、オンサイトPPAは、再エネ賦課金がかからず、また、電気代の単価も安くなる可能性が高いです。
しかも、導入費用・メンテナンス維持費用を無料で導入できることから、電気料金の見直しを検討している企業にとっては、検討する価値はあるでしょう。
ただし、日射量や日照時間が十分でなければ、太陽光発電設備を設置しても採算が合わないため、PPA事業者から断られる可能性もあります。
3. 節電に取り組む
再エネ賦課金は、電気使用量に応じて課金されます。
そのため、節電により使用量そのものを減らすことによって、再エネ賦課金を安くすることができます。
ちなみに、オフィスビルか工場かによって、節電ポイントは異なります。
例えば、オフィスビルだと空調設備・照明器具・OA機器だけで、全体の電力消費量の8割以上を占めています。一方で、工場は生産設備が8割です。
それぞれの使用状況を把握し、対策を講じることが重要です。
4. 電力プランを切り替える
再エネ賦課金を下げる根本的な解決策ではありませんが、電力会社を切り替えることによって電気代そのものを安くできる可能性があります。
高圧電力の料金メニューには、主に通常の電気料金プランと市場連動型プランの2つがあります。
通常の電気料金プランは単価が24時間固定される一方で、市場連動型プランは市場価格に応じて電気代の単価が変動するため、単価を大幅に下げることが可能です。
なお、FIT制度の普及により、市場価格が「0.01円/kWh」の最安値をつける時間帯は年々増加しています。
特に、日照条件が良い九州エリアでは、市場価格が0.01円/kWhの時間が2023年は年1174時間となり、年間の総時間数(8,760時間)の約13%に達しています。
市場連動型プランは、午前~昼間の電気代が安くなる傾向にあるため、日中に電気をたくさん使用するオフィスや工場であれば、電気代が下がる可能性が高いといえます。
以下は、燃料調整費型プランと市場連動型プランの価格イメージ図は以下のとおりです。
「電気代を安くしたい」「電力会社との契約で悩みたくない」という企業は、市場連動型プランを検討してみてはいかがでしょうか。
一度、見積もりをとって比較することをおすすめします。
電力アドバイザーズは最適な電力会社を見つけるお手伝いをしています
電力アドバイザーズは、電力会社との契約を見直して電気代削減を支援する、エネルギーコンサルティングをおこなっています。
2024年度に電力アドバイザーズが手がけた切替件数は約900件(2024年4~9月)。
これまでに9割以上の法人企業が電気代削減に成功しています。
電気代削減率は平均16.1%で、最大で25%下がった実績があります。
北海道から九州まで、工場やオフィスビル・倉庫・医療施設・ホテル・店舗など様々な業種の企業様の電気代を削減してきました。
電力アドバイザーズのサービスの特長は以下の3点です。
- 提携先の電力会社に一括で見積もりを取得
- 電力のプロが電力会社と単価交渉~契約手続きまで全面サポート
- 全てのサービスを完全無料でご提供
それぞれの内容を説明します。
1. 提携電力会社に一括で見積もりを取得
2024年時点で電力会社は700社以上存在します。
当社は以下3つの基準により厳選した30社から最適な電力プランを紹介することが可能です。
- 新電力を運営する母体企業の信頼性
- 国内電力供給シェアが上位1割
- 競争力のある料金プランを提供できる電力会社
電力会社には倒産リスクがあるため、料金プランの良し悪しだけで選ぶのは危険です。
社会インフラである電気の供給元を選ぶにあたり、母体企業の信頼性や財務力の面で安心感のある会社をご紹介します。
2. 電力のプロが電力会社と単価交渉~契約手続きまで全面サポート
より良い条件の見積もりを引き出すためには、専門的な知見が必要です。
料金プランについて熟知した当社コンサルタントが電力会社と単価交渉をおこない、有利な条件での契約を徹底サポートします。
◎各社見積書の条件を一覧表にまとめます
電力会社のプランは年々複雑化しています。
その上、見積書はフォーマットや前提条件が各社で異なるため、どの料金プランが最適かを見極めるのも困難です。
実際、複数社から取り寄せた見積書に記載されている「削減見込額」の大きさだけで電力会社を選び、失敗している法人様も少なくありません。前提を同じ条件に整えないと、比較が不十分だからです。
当社に依頼いただくと、電力に詳しくない方でも簡単に比較検討できる、各社料金プランの条件を整理した「条件比較一覧表」を作成してお渡しします。
そのうえで各プランの特徴を丁寧に説明し、不安や懸念点を解消します。
ちなみに、当社に一括見積もりを依頼されたとしても、切替のお約束はありませんのでご安心ください。
「電力会社の見積もりを見てみたい」「今後の参考にしたい」というお話でもしっかりサポートしますので、お気軽にご活用ください。
◎一括見積もりを依頼するメリット
自社対応される場合と当社に依頼いただく際の比較表を以下に記載しました。
各電力会社と直接やり取りするのは非常に大変です。
担当者の方が本業に集中できるよう、電力会社との面倒なやり取り、見積書の収集や契約条件の整理、料金プランに関する知識説明まで全てのフローで全面サポートします。
なお、当社を飛び越えて電力会社から直接連絡が入ることはありませんのでご安心ください。
3. 全てのサービスを完全無料で提供しています
当社は電力会社の選定~契約手続き完了までの全てのサービスを無料で提供しています。1円もかかりません。
もちろん、アフターフォローも万全です。
◎有益情報を適宜お届け
電力市場を取り巻く環境は日々変化しています。
そのため、電力プランも適宜見直す必要があります。
電力アドバイザーズは電力会社の見直しに限らず、市場の変化が起きた時に有益情報を提供し、企業の電力パートナーとして継続的に伴走しています。
一括見積もりを依頼するために必要なものは?
一括見積もりを依頼するために必要な資料は以下の2点です。
- 12ヵ月分の電気料金の明細書
- 30分値データ
◎電気料金の明細書について
電気料金の明細書については、原則として直近12ヵ月分のものをご準備ください。
明細が手元になく、すぐに用意できない場合は準備可能な分で試算するため、お気軽にお問い合わせください。
◎30分値データについて
30分値データとは、30分単位の電気使用量を確認できる資料です。
精緻に試算することができるため、ご準備いただくことをおすすめします。
30分値データは電力会社によってマイページからダウンロードできたり、電話で直接問い合わせをする必要がありますが、取得方法が分からない場合はまずは当社にご相談ください。
もちろん、30分値データがなくても一括見積もりは可能です。
お気軽にお問い合わせください
電気料金見直しのご相談は「電力アドバイザーズのお問い合わせページ」または下記バナーからすぐに完了できます。
見積もり依頼を希望される方はぜひお申し込みを。
電気代見直しに関するご相談や不明点などにも対応可能なのでお気軽にご連絡ください。
お待ちしております。